『イロモノなアタシⅡ 小鬼更正計画』

いつものスーツ姿ではなくて、私服だったけれど、茶色のジャケットにシマのワイシャツが素敵だ。


私服のセンスもいいんだよなーと、少しみとれていると、いきなり横へ突き飛ばされる。


「おどきっ! 」


あっと言う間に、エサへ食らい付いて行く蘭子さん……。


その素早さたるや、店内に居た人全員が注目するほど。


「いらっしゃいませー、さーどうぞー」


ベットリ張り付かれて蘭子シートに案内をされた先輩は、あたしを見つけて涙目になる。


「あの、こ、これは」
「先輩、さ、飲みましょう」
「うん」
「ささどうぞー、お1つぅー」


余りの変わりように、クミさんがプッと吹きだす。


確かに、最高の状況だろう。


さっきまで鼻からナッツを飛ばしていたのに、今は指でつまんでアーンまでさせているのだから。


しかし、ただならぬ殺気を背後から感じるのはナゼだ。