『イロモノなアタシⅡ 小鬼更正計画』

お客として来たのに、何でここまでしなきゃいけないんだろう。


まあ、蘭子さんにはお世話になったし、お父さんの店だから仕方ないが。


社長のお見送りのため、店のドアを開けて頭を下げる。


「また、いらして下さいねー」
「必ず来るよー、シホちゃんも元気でなー」


よし、後は向島先輩が到着するのを待つだけだ。


彼さえ来れば、蘭子さんもご機嫌を直してくれるはず。


オカマの一番の大好物は、好みのタイプのイケメンだと、シャングリラで勤務し続けた4年間で嫌というほど分かっている。


先輩、申し訳ないけれど、犠牲になって下さい。


と、1人ほくそえんでいると、ドアが開く。


「いらっしゃいませー」


そこに立っていたのは『エサ』こと、向島先輩。