シャングリラに到着し、店のドアを開けると出迎えたボーイさんが急に腕をつかむ。


「ど、どうしたの? 」
「お嬢さん、あの……蘭子さんにだけは近づかないで下さい」
「どういう意味? 」
「色々ありまして、幸せな人間を見ると、おそいかかるんです」


出ました、蘭子さん。


またヒモ同然の彼氏と別れましたね、たまーにあるんだ、こういう事が。


一番相談したい人だったけれど、仕方ない。


ミミさんを席に呼んでもらい、待っている間にママへ挨拶に向かう。


「ただいまー、ママ」
「あらっ! シホちゃん。まー、忙しいのに平気なの? 」
「抜けて来たから、あんまり居られないけどね」


そうだよ、24時間体勢であの2匹の小鬼を見張らなくてはいけないんだから。


米山もあたしの部屋で見張ってくれているし、早く帰らなければ、敬介の半裸写真が掲載されている雑誌を発見されてしまう。


「まぁー大きくなったわねー、その体」


はい、太りました。


東京に戻ってからのストレスと、見張りによる不規則な生活で。