東京での初仕事は、カウントダウン番組のライブ収録。


行きましたよ、ええ、徹夜明けで不機嫌な2人と。


一晩中、ゲームの音が鳴り響き、2人が楽しそうにゲラゲラ笑う声が聞え、部屋にいつの間にか居座っている米山が、クスクス笑って……。


おかげであたしまで寝不足、でも、向島先輩はシャキっとしており、爽やかオーラで包まれている。


「夕べ、遅かったみたいだね」
「それはもう、一晩中」
「お疲れ様」


その言い方と来たら、まるで彼女に対する時のような優しさで満ちあふれていて、本気でこの人を好きになってしまいそうだ。


でも、敬介を忘れたワケじゃない。


いつだって指輪はしてるし、それにあのロボット君も一緒に居る。


連絡は無いけどさ……。


敬介、何してるのかな。

せっかく東京に戻れたのに、あなたと少しでも近くに居られるのに。


などと乙女気分になっている余裕すら、あたしには無かった。


「コラァ! シュウのミルクが無いど」
「渇いた」


はいはいはーい、申し訳ありません。