『イロモノなアタシⅡ 小鬼更正計画』

「2人とも! お願いだから遊びに行かないで! 」
「うわ、デブスが来よったで! 」


つかつかと歩み寄り、万里也の腕を捕まえる。


万里也さえ押さえれば、秀一郎は付いて来るだろうと思ったから。


それに気付いた向島先輩も、万里也の腕を取り、両サイドから挟み込む。


「これ以上、騒ぎを起こさないで、お願い! 」
「じゃかあしぃ! 何で遊んだらアカンねん」
「君達は未成年だ、それに、これから東京でデビューしようとしているんだぞ。ただでさえ注目されているのに、飲酒や喫煙、女性で問題を起こされたら、君達の親にまで迷惑が掛かる。ここは大阪じゃないんだ、皆が君達を狙ってる」


冷静な向島先輩の言葉に、抵抗を止める万里也。


これは効いたはずだ、さすがは有能なマネージャー、見習わなくては。


「もうエエ」


秀一郎様、いい加減一語分は止めて下さい。


やっとの思いで彼らをマンションに連れ帰り、角部屋のドアを開ける。


「仕事以外での夜間外出をする際には、必ず同行するからね」
「やかましいわ、ボケェ! 」


罵声を浴びせてドアが閉まり、あたしと向島先輩は深いため息をもらした。


だが、戻った部屋にもため息が出る存在が居る。