『イロモノなアタシⅡ 小鬼更正計画』

相手は商品、それも超売れ筋。


それに手を出したとなれば、業務上横領罪確定です。


「じゃあ、志穂ちゃん、お休み」
「お、お休みなさい」


隣同士、部屋の前で別れる。


はー、やっと休めるなーと思った矢先、チャイムが鳴った。


敬介かも知れない、きっとお父さんから新しい住所を聞いて来たんだ!


イソイソとドアを確認もせずに開けたあたしの目に見えたのは、小太りのメガネを掛けたおじさん顔。


「どなた様でしょうかー? 」


逃走経路は窓しか無い、しかしここは5階、ダイブは天国行き。


逃げられない、助けてー向島先輩!


「シホっち、お久しぶりねー」
「よっ、米山さん」
「これ、引っ越しソバ。良かったら食べよう、一緒に」


お待たせしました皆様、2年ぶりの米山です。


敬介との恋路を邪魔しまくった、あの米山ですよー。


しかしどうしてここに? と尋ねる余裕も無く、部屋へ進入して来た。


そして、コンビニで買ったと思われる引っ越しソバをテーブルの上に乗せると、玄関でフリーズしているあたしに向けて、微笑みを浮かべる。