『イロモノなアタシⅡ 小鬼更正計画』

ドメバイならぬ、マネバイ。


どうしていつもこうなのか、最近の子はキレ易いと言うけれど。


「シャツ」


はいはいはい、シワは伸びました、どうぞお召しになって下さい。


「出てけや! 着替え覗くな」
「かしこまりましたー」


楽屋を追い出され、ポツンと1人廊下に立っていると、また敬介が通り掛る。


「どうしたの? 」
「マネバイだよ」
「マネバイ? 」
「マネージャーバイオレンス、着替え見るなって言われたの」


それを聞いて笑い出す、何て無邪気な笑顔なんだろう。


でも、少し救われるけどさ。


「それより、他の演者(えんじゃ=出演者)さんに挨拶へ挨拶に行かせたの? 」


当然、敬介はとっくに済ませている。


先輩芸人だけでなく、後輩芸人にもしっかりと。


あの2人は……。


「してない、って言うかする気が無いの」
「重症だね、それは」
「でしょー、もうあたしは限界です」


お手上げのポーズをすると、ツンッと額をつつかれる。


「志穂、負けるなよ」
「うん……」


もう負けっぱなし、敬介にもあの王子2人にも。