『イロモノなアタシⅡ 小鬼更正計画』

あれだけ苦労して、ハギモトだって売り込んで、先輩だってあんな事してたけど……。


ここでサクッと引退なんかされてたまるか、冗談じゃない。


ああ、ごめんなさい、キレます。


「仕事って、そんなに甘いモンじゃないのよ。勝とうが負けようが、引退なんて許されないの! あなた達だけじゃなくて、CMの依頼をしている会社や、TV局、それにハギモトにだって迷惑をかけるのよ! 2人だけの話じゃない、レイナさんっ! 」
「な、なんや? 」


にらまれたレイナさんは、ビクっとなる。


「母親として、いえ、一流の漫才師として仕事をどう考えてらっしゃるんですかっ! 」
「まあ、アンタの言う通りやな」
「だったら今すぐこんな茶番を止めて、摩理依さんを大阪に連れて帰って下さいっ! 」
「で、でもかつおにバレたら大変やし」


なおさらでしょうに、2人っきりで同居させていたなんて知れたら。


「まあ、そないにキレんなや。大沢」


万里也があたしの肩を叩く、しかし一度キレたら止まらない。