「レイナさん、大阪から申し訳ありません」
「どかんかいっ! 」


興奮したレイナさんは、病室の前に居たあたしを突き飛ばして中に飛び込む。


「大丈夫ですか? 」


手を差し伸べたのは、若い男。


まさか、愛人同伴とか?


あれ、この香りは万里也の香水と同じだ。


「ありがとうございます」


立ち上がったあたしは、彼の顔を見て叫びそうになった。


「ま……万里也! 」
「せや、これまでの騒ぎは茶番やで」


笑った彼は、紛れもなく万里也そのもの。


声も体つきも、髪型も。


じゃあ今、病室で寝ているのは誰なんだ?