『イロモノなアタシⅡ 小鬼更正計画』

「ただ、最後に色々と仕事が入ってるから、就任でけるんは12月や」
「もう決定事項なんですね、それは」


ああ、神様。


このあわれなブタに、まだ試練をお与えになりますか。


この世に神も仏も無い事を思い知りながら、会議室を後にすると、敬介にばったり出会った。


「どうしたの? 顔色悪いけど」
「何でも無いですー」


ここは会社、あくまでも芸人さんとマネージャーとして会話しなくてはいけないというのに、あたしの顔をのぞき込みながら心配だと言わんばかりの態度。


「あ、鳴瀬さん、この間のネタ良かったです」
「えっ! 本当に」
「ええ、あれは凄いですよ、ウチのsuper ㎡に取っても手ごわいと思いましたね」


見てる、木村専務が会議室から出て来て。


気づけ、敬介。


いっくら天然だからと言っても、ヤバいって分かるでしょっ。


「お店の人たちもウケてましたよーアハハハ」
「じゃあ、もうちょっと改良して頑張るよ」
「そうですねー、ではまた」
「ありがとう」


やれやれ、立ち話もラクじゃないよ。