翌朝、携帯電話の鳴り響く音で目が覚める。


どこからの電話だろうかと思い、寝ぼけながら出ると……。


『コラァーボケェー、何さらしとんじゃい! 』


という罵声。


しかも若い男の子の声で。


誰だ? この人は。


まさかサラ金の取立てとか? いいや、決して高くはないお給料だけどそれなりにやり繰りしているし。


お金は借りた事無いんだけど。

『迎えに来んかい! 今は何時やと思っとる! 』
「ど、どなたでしょうか? 」
『ワシじゃい、ボケカス! 』


そう言えば、あたしは昨日から担当が変わったんだ、Super ㎡に。


この声は、万里也。


「どこへお迎えに? 」
『家じゃ、早うせんかい! 』


いけない! すっかり忘れていた。


急いで家を出ると、会社に向かい、社用車のキーを借り出す。


家ってどこだ? 資料をめくって住所を探し、慣れない大阪の街を走ってたどり着いたのはあの電話から30分も後だった。


当然、そこに2人の姿は無く、代わりにピンクのガウンを着た万里也の母ピンヒールのレイナさんが怖い顔をして立っている。


「今、何時やと思うてんの? 」


キレイな顔は、ノーメイクのために眉毛が無く、一層怖い表情を引き立てていた。