「先輩、もうしなくてもいいんですよ。この事、あたし死ぬまで秘密にします」
「いいよ会社に話して、そうすれば君だけでも助かるんだし」
「ダメです、相方でしょう? 先輩、ハギモトに居て、嫌ってほど相方を大事にしなきゃいけないって、分かってるじゃないですか」
「志穂ちゃん、優しいね……」


ギュッとあたしの背中にしがみ付くと、シャツの前を涙でグショグショに濡らす。


師匠、やっぱり許せない。


こんな素敵な先輩に、ひどいマネをさせるような事をして。


でも、どうやって先輩の敵討ちをすればいいんだろう。


「聞いたわよーん、シホちゃん」
「ウウッ、かわいそうな子だったのね、ムコちゃんってば」


リビングのドアが開き、登場したのは2人と1匹。


しかもお父さん、ハンカチしぼるほど泣いてるし。


「手伝ってあげましょ、復讐」
「蘭子さんっ! 手荒なマネは止めて下さいっ! 」
「志穂、あんたどうせクビになるなら最後にムコちゃんの敵討ちを手伝ってよ」
「お父さんまで! 」