だからお父さんや蘭子さんにからまれても動じなかったんだと、今になってようやく分かった。


「お金は何とかなったけど、僕の体は……」
「もういいです、先輩」
「でも、ちゃんと聞いて欲しいんだ。一緒にやって来た相方だし」


聞きたくないけれど、でも、先輩は全部あたしに受け止めて欲しいと思っているんだ、受け止めなくちゃ。


「ウリセン時代に知り合った人脈で、入社してからもすぐに活躍出来たんだよ」
「それで師匠の息子であるSuper ㎡に復讐したんですね、黒い噂を立てて」
「そうだよ、もう済んだから今度は大虎師匠を狙おうって、大阪に転勤願いを出したんだけどね……」


多分、木村専務が気付いて受理しなかったのだろう。


「あの赤い大きなヒールも」
「そう、女装の趣味があるディレクターでね。僕に抱いて欲しいって」


そこまで言って、また涙がボロボロと落ちる。


男の人がここまで泣くなんて、初めて知った。