向島先輩のお母さんは、銀座のクラブでNo,1のホステスだった。


そこへ現れたのが、漫才ブームでもてはやされた万里也の父、そしてレイナさんの夫である『大虎 かつお』。


当時、まだ結婚をしていなかった彼は、ありとあらゆる女に手を出し、その結果、先輩がデキてしまった。


しかし、レイナさんとの交際中だったため事の発覚を恐れた彼は、先輩を認知せずに、手切れ金だけを渡して済ませたらしい。


ホステスさんの妊娠は重大で、当時働いていたクラブも辞めざるを得なくなり、出産後も先輩を女手1つで育てるため、お母さんは相当苦労したという。


「だから僕は物心ついた時から、師匠を恨んでいた。レイナとの結婚の時もそう、母を差し置いてってね」
「先輩……」
「早く成長して、彼への復讐を果たしたかったんだ。でも、母は彼を恨まないで欲しいって言い遺してこの世を去った。僕が18歳の時だよ」


それから先輩は、どうしても復讐のためにハギモトへ入社したいと考え、大学に進学する事にしたけれどお金が足りず、二丁目でウリセンを始める。