そっと体を抱き寄せて、胸の中で包む。


こんなに弱々しくなっている先輩が、かわいそうで仕方ないから。


「ありがとう、志穂ちゃん……」
「もう大丈夫ですよ、先輩」


あたしの胸の中で先輩は、枕営業の理由を話してくれる。


「僕はね、大虎 かつおの子供なんだ」
「えっ? 」
「奴が前の漫才ブームで東京に来ていた時、銀座のクラブで働いていた母が東京妻になったんだよ」


それから聞いた話は、あたしに取って受け止め切れないほどの痛みを感じさせた。