「お願いです、それは止めて下さいっ！　」
「何でやねん！　ワシらの名誉が傷つけられたんやで！　」
「解決するまでは……」
「アホ抜かせぇ！　夕べやって何も出来てへんやないか！　」


背の高い万里也の手から携帯を奪う事は至難のワザで、もう通話ボタンを押してしまっていた。


「止めや」


秀一郎はあたしを押さえつけ、万里也に話をさせてしまう。


「お願いですっ！　」
「あー、もしもし、オトン？　あんな、マネージャーの向島、クビにしてくれへんかなあいつな、枕営業やっとんのや」


もうダメだ、自分の力ではどうしようもない。


「せや、ん、こっち来るんか？　明日、はーん、ほな頼むわ」


電話が切れた、それと同時にめまいが襲って来る。


先輩を助けられなかった絶望感、そして、大虎師匠の恐怖。


「残念やな、明日東京支社に顔出すそうやし、時間の問題」
「万里也君っ！　」
「ついでにお前もクビにしたるわ、もうエエし」