あの時、助けが入らなかったらあたしは今頃どうなっていたんだろう。


シャワーを浴びても、着替えても震えが止まらない。


「シホっち、大丈夫? 」


カギの開く音と共に、米山がドピンクのパジャマ姿で現れた。


「米山さーん……」


思わず彼女に飛びつき、大きな体を抱きしめる。


「で、ヤラれちゃった? 」
「助けてくれてありがとう、一歩前で何とか間に合ったよ」
「あんた震えてるじゃない、相当怖い思いをしたね」


背中を肉厚の手がさすり始めると、涙がこぼれて来た。


デブ同士の抱擁なんて暑苦しいけれど、でも、今は温かくて仕方ない。


「向島の秘密、分かった? 」
「全然、聞く前に襲われて」
「ダメじゃない、ちゃんと聞きださなきゃ」


叱られたって何だっていい、ありがとう米山。