2人のオカマにはさまれて、先輩はみるみるうちに普段の穏やかオーラを放ち始めた。


「ママさん、具合はいかがですか? 」
「もう心配ないわよー、手術も大した事無いみたいだし、これですぐに復帰出来るわ」


聞いてないよー、娘にちゃんと大事な事は報告してくれないとさ。


「何よ、ママの心配ばっかりして。あたしだって忙しかったのよ! 」
「すみません、蘭子さん。心配はしていたんですけど、忙しくて」


ふと、自分を取り戻しかけたけれど、さっきまでの状況を思い出して体が震えて来る。


怖かった、あの目付き、そして行動が。


「志穂ちゃん、震えてるの? 」
「カゼかも知れませんね、良かったら志穂ちゃんの部屋で診てあげて下さい」
「ムコちゃんは大丈夫なのかしら? ママ、ムコちゃんの看病は任せて」
「イヤよ、なんで蘭子と2人きりにしなきゃいけないの」


騒ぎ始めた2人をヨソに、先輩の部屋から逃げ出す。


自分の部屋に戻ると、ボタンをちぎられたシャツをゴミ箱に捨て、スーツを脱ぐ。