こんな仕打ちを受けても、あたしはメゲない。


コンビを組んだ以上、相手がどうあれ大事にしなくてはいけないから。


それは芸人さん達を見続けて学んだ事、例え相方と仲が悪くても、一緒に仕事をする以上、ないがしろには出来ない存在なのだ。


不機嫌な2人を学校へ送る途中、くれぐれも騒ぎを起こさないように言い続け、会社に出勤する。


普段から誰も居ないマネージメント部のデスクの中、1人でパソコンに向かう先輩の姿を見つけた。


「先輩」
「志穂ちゃん、今朝も言ったよね」
「お願いです、もうあんな真似は止めて下さい」
「ムリだよ、ここまで来たんだもん。上に行きたくはないの? 君も」


それは会社員である以上行きたい、でも手段が間違っている。


「体を張って仕事を取るのは、間違っていると思います。それじゃ彼らの実力を認めた事になりませんし、関係者だって」
「あのさ理想論なんだよ、それは。実力はあるよ、だけど礼儀を知らない彼らがこの世界で通用すると思う? 」


通用しないだろう、まず。


先輩があんな行為を続けなければ、今の活躍だって無かったに違いない。