一晩中、自分で解決するべきなのか、それとも誰かに相談をすればいいのか、するとしたら誰がいいのかと悩み続け、眠れずに夜が明ける。


翌朝、となりの先輩の部屋のドアが開く音がした。


やっぱり、この先どうすればいいのかを話し合いたい。


こんな事、止めさせなくちゃいけないし、自分の体を張ってまでなぜ会社に貢献しようとしたのか理由を知りたいから。


何度も迷いながら、それでも勇気を出してチャイムを押すと、すぐに先輩は顔を出した。


「おはよう、どうしたの志穂ちゃん」
「あの、先輩……。今日、2人を学校に送った後、お話があるんですが」


いつもの笑顔ではない、冷たい色を瞳に浮かべてあたしを見ている。


「いいよ会社に報告しても、木村専務も知ってるって話だし」
「そうじゃなくて、理由を教えて下さい」
「理由なんか明白じゃないか、自分の担当したタレントが売れれば、自分の地位も上がるからね、ただそれだけ」
「でも、方法が」


間違っていると言おうとした瞬間、ドアが閉められた。