『イロモノなアタシⅡ 小鬼更正計画』

「それからこれは、お父さんからだって」


渡されたのは、1本のワイン。


でもお父さんはまだ入院中だし、どうやって届けてくれたのだろう。


「敬介、どうしてこれを? 」
「病院に行ったんだ、蘭子さんから聞いて」
「え? 」
「どうして教えてくれなかったの? 俺、そんな事になってるなんて知らなくて、何でも言ってくれればいいのに」


言われた瞬間、涙が出て来る。


その言葉が優しくて、今まで抱え込んでいた悩みが全部洗い流されたからだろう。


「ごめんね……でも、余計な……」
「志穂、俺信用されてないのかな」
「そういう理由じゃなくて、でも、忙しいのに」
「あのさ、何でも1人で抱え込まないで欲しい。俺は、大して役に立てないけど、志穂の事を愛してるから、悩みだって共有したいと思ってるんだよ」


ギュッとあたしの体を抱きしめながら、敬介も涙を流した。


やっぱり、この人と付き合う事が出来て良かったと本当に思う。