病名は『心筋梗塞』だった。


冠動脈と呼ばれる血管が細くなって流れが悪くなったり、血管がふさがって血流が悪くなると、心臓を動かす筋肉の働きが鈍くなり、心臓の筋肉が死ぬと起こる病気だそうだ。


長年にわたる店の経営によって、ストレスがたまり、それが引き金になったらしい。


経過を見て、心臓病専門の病院に通いカテーテル療法をすればよくなるらしいけれど、それでも安心は出来ないと思う。


ベッドで眠るお父さんの真っ白な素顔を見ていると、お母さんが亡くなった時を思い出して嫌になる。


あの時もそう、お母さんは眠っているような顔で……。


「志穂? 」
「あ、お父さん起きたの? 」
「うん、ねえお店は大丈夫かしら? 」
「大丈夫だよ、蘭子さんが何とかしてくれてるから。夜、少し様子を見に行くからね」