『志穂ちゃん、僕の部屋の暗証番号を教えるから。2人は別々に住んでいる事にしよう、君の部屋は片付いてるかな? 』
「大丈夫です、まあ、家具とかも普通ですし」
『女の子らしい物を今からしまって、そっちが万里也君の部屋で、僕の部屋は秀一郎君の部屋にしよう』
「分かりましたぁぁ……」


こんな大ピンチでも的確な危機管理が出来るなんて、やっぱり先輩はデキる男だ。


自分の部屋に戻り、クローゼットの中身を全て万里也の服に入れ替え、女の子らしいと思われる物も2人の部屋に押し込む。


それが終って、先輩の部屋をのぞくと、キチンと片付いていて安心した。


報告のために電話を掛ける。


「先輩、終わりました」
『お疲れ様、今日の撮影にはジョリンジョリンが同行するから、一応、彼らにも引き出しとかは開けないでって言っておいたよ』
「助かりますー」
『終ったら、元通りにして。大丈夫、あわてなくても』


根回しまでしてくれていたとは、さすがだ。


無事、偽装撮影は終わりホッとしたのもつかの間、次の事件が翌日の『Mスタジオ』で起こった。