涙を何とか止めて、先輩の部屋のチャイムを押した。


「大沢です、今戻りました」
『お疲れ様』


ドアが開くと、真っ白なバスローブ1枚の先輩が顔を出す。


湯上がりも素敵です、特に前髪から水滴がしたたっている所なんて、水もしたたる男前で……。


と、見とれてしまったが足元の靴に気付く。


そこにあるのは、真っ赤なハイヒール。


もしかして、彼女が来ているのだろうか。


居たっておかしくは無いんだけど、問題なのは靴のサイズ。


明らかに、先輩よりも大きい。


これは一体何なんだ、いや、探ってはいけないと思い、荷物を届けると言って部屋のドアを閉めた。


そして2人の部屋のチャイムを押すと、こちらでも異変が起きていた。


「何や、遅いで」
「すみません、これが頼まれていた買い物です」


紙袋を渡そうと、万里也の手に触れた瞬間、彼の顔が真っ赤になる。