『イロモノなアタシⅡ 小鬼更正計画』

「15番、Super ㎡ 曲名は『キミのそばで』です」


音楽が流れる、彼らの目の前に居るのは難しい顔をしたMHKのお歴々。


こんな状況の中でも、緊張する様子すら見せずに、B面の曲を平気で歌い上げる彼ら。


その度胸は、両親ゆずりなんだろう。


「では、終わります」


感動ではなく、安堵の涙が流れた。


良かった、無事に終わったのだ。


エロい動きもキスもせず、真面目にキチンとやってくれただけでも……。


「志穂ちゃん、泣いてるの? 」
「ホッとして」


そんなあたしに、そっとハンカチを差し出してくれる先輩。


本当にこの人は優しい、でも、それは個人に向けられたものではなくて、皆に向けられたものなんだけれど。