MHKに到着し、向島先輩に彼らを任せ、局内をアイサツに駆け回って楽屋に戻る。


「準備OKだよ、こっちは。局回りの印象はどう? 」
「まあまあですね、芸人だし、歌も歌えるよレベルで」
「だよね、大丈夫。これさえ成功すれば、ヤングMusicにも出られるし、事によっては教育番組のレギュラーも取れるんだから」


それは無理だと思います、彼らを逆に教育したい位ですから。


楽屋の中をのぞき込むと、マトモな衣装を身に付けた彼らがぶ然と座っている。


お願いだから、今日はキスとか、エロい動きはしないで下さい。


それから台本に無いトークも……。


「大丈夫ですかー? 」
「何がやねん! 」


はい、そうですよねーと、ドアを閉める。


「今日こそは成功させようね」
「はい、もちろんです」


不安をはらんだまま、新人オーディションは始まった。