『イロモノなアタシⅡ 小鬼更正計画』

そろそろお昼の時間だと思い、何にしようかと中へお伺いを立てるが返事は無かった。


おかしい、ここは27階で、脱走できるワケが無い。


ドアをノックしてから開けてみると、姿が消えていた。


瞬間移動か! いやいやまさか鬼の子だってそんなマネは出来ないだろう。


急いでドアの中に入ろうとした時、2人が急に飛び出して来る。


「ちょっと! 」
「おおきにー」


有名な泥棒マンガでも、よくあるパターンなのにまんまと引っかかってしまった。


逃げて行く2人を必死に追いかけるが、追い付くわけが無い。


「誰かーっ! 捕まえて下さーいっ」


叫びながら走っていると、エレベーターのドアが開き、中へと消えて行く後ろ姿が見えた。


ああ、もうダメだ。


あの温和な向島先輩だって、絶対に怒るだろう。


ヘナヘナとエレベーターのドアにすがり付いて、その場に崩れ落ちる。


もう、辞表を書いて今日中に辞めよう。


それで、『シャングリラ』を継ぐか、敬介のお嫁さんになればいい。


あきらめモードに突入しかけたその時……。