―――― ―― あまりの恐怖で、覚えていない。 とにかくハンカチだ、って思った。 ワタルはなんでもなさそうにしていたけど。 あたし、なんて運がいいんだろう。 また救われるなんて。 “そのまま帰れないだろ” そう言って案内された、小さなアパート。 かなり古いのが見た目で分かった。 相変わらず無口なワタルは、そのまま奥からセーターを投げて出て行った。 意外な優しさを、見つけてしまった。 残されて急に力が抜け、ペタリと座り込んだ。