「どうかなさいました?」 白衣のドクターが声をかけてくれた。 「い、いえ」 「お困りですか?」 にっこりと微笑んでくれるのはいいけど、隣にいる男に誘拐されるかもしれないなんて言えないじゃんか。 「いえ」 「ほんとに?」 かけていた細い眼鏡を、すっと外した。 「……平気です」 「ほんとーに?」