「周は前みたいに笑ったり冗談を言ったり、全然しなくて…表には出さないけど凄く苛立ってるよ。今に、前みたいにはあいつと話せなくなるかも知れない」

「お兄ちゃん…」

「俺は、そんなあいつをお前に見続けて欲しくないんだ」

少しずつ、時の流れに沿って環境は変化してゆく――周に限らず、誰もがその影響を受けて変わってしまう。

ならば自分が周に抱いているこの想いも、いつかは自分の心を離れていってしまうのだろうか。

「でも…きっと周さんなら大丈夫、また前みたいに笑ってくれるようになるよ。お兄ちゃんだってそう、思ってるんでしょ?」

「愛梨…」

それでも愛梨は変わらないもの、取り戻せるものがあると信じたいのだ。

「だから、お願い……まだ此処にいさせて」

真っ直ぐに眼差しを向けると、悠梨は呆れたように首を降ってから苦笑した。

「…仕方ないな」


 * * *