いとしいあなたに幸福を

「――周様、今日は占部様とご一緒に都様がいらっしゃる日ですね」

「うん」

「確か都様はこのまま邸に残られて、婚儀の日を迎えるんですよね?」

「うん」

「…都様、お綺麗な方ですよね。ご病気のせいで今まで縁談が受けられなかったなんて、勿体無い」

「うん」

「きっとお身体が健康だったら周様なんかより、素敵な殿方とご結婚出来たでしょうにね?」

「うん…」

窓縁に座り込んで外を眺めながら、周は陽司の言葉に適当な生返事を繰り返した。

「…周様は最近、日増に元気がなくなりますね。本当はご結婚、されたくないんでしょう?」

「そんなことないよ」

「いつもの周様だったら、さっきの発言で俺は一発殴られてますよ」

「……そうかな」

「そうですよ」

「いつもの俺って、そんなに酷い奴か?」

「いえ。ただ…もっと冗談の通じる方ですよ、周様は」

周はゆっくりと、深い溜め息を落とした。

「……俺だって、たまには感傷的になることくらいあるさ」