いとしいあなたに幸福を

だが周が慕われるのは恐らくその整った容貌よりも、人を惹き付けるあの明るい性格や表情だろう。

愛梨自身、あの笑顔に最も惹かれている。

「そうか…あいつ、かっこいいのか」

悠梨は意外な発見、と言わんばかりにぶつぶつと呟いた。

「周さんはね、笑った顔が素敵なんだよ」

「ああ…確かにあいつが笑ってると、なんか落ち着くような気はする」

だが、ふと陽司が心配げに呟いていた言葉を思い出す。

『最近の周様はあんまり笑わないんだ――』

「要は、よく笑う奴だと女の子に好かれるのか?」

「んー…そういうことでもないと思うけど…」

確かに昔、近所に住む女性に“愛梨ちゃんのお兄さんはもっと笑えば素敵なのにね”なんて言われたこともあった気がする。

「でもあいつ、誰にでも優しいからな。男でも女でも、子供でも大人でも。…あんなに周りに気を遣ってて、疲れちまわないかな」

悠梨は心配そうにぼそりと漏らした。

――周は、明るくて優しい。

だから周の人柄を知った者はみんな、彼のことが好きになる。

けれど彼が、自分を甘やかすことに不馴れだということを知る人は少ない。

愛梨は初めて出逢ったとき、そのことに気付く切っ掛けがあった。

悠梨もきっと、気付いている。