「やっべえ、見付かったっ」
突如割って入った陽司の大声に、周は素早く身を翻した。
そして、一つしかない厨房の出入口とは逆方向にある窓縁に向かって飛び乗る。
「周さんっ!?」
此処は二階だが、まさか窓から逃げるつもりなのだろうか。
通常の家屋の二階よりも、この邸の窓は少々高い。
幾ら周の身体能力が高いとはいえ、生身で着地するには些か地面までは高過ぎる――
しかし周はその予測通り、出入口を塞ぐように立ちはだかっていた陽司が慌てて駆け寄るより早く、開け放った窓からひらりと飛び降りた。
「!」
「陽司、愛ちゃん、じゃあな!」
驚いた愛梨が急いで窓際まで走り寄ると、周が着地の寸前に足元へ風を送り込んで落下の衝撃を和らげたのが見えた。
「周様っ!!また風の精霊の力をそんなことに使ってっ!!」
窓から身を乗り出した陽司が、眼下で手を振る周に向かって怒声を上げる。
「悪いなー、陽司。母上にはお前から上手いこと言っておいてくれ!」
周はそう言い残して、街のほうへ駆け出して行ってしまった。
「もうっ…また俺が厘様に叱られるじゃないですかっ」
陽司は窓に寄り掛かったまま精根尽き果てたように項垂れた。
「ご、ごめんなさい…私がちゃんと周さんを引き留められてれば…」
突如割って入った陽司の大声に、周は素早く身を翻した。
そして、一つしかない厨房の出入口とは逆方向にある窓縁に向かって飛び乗る。
「周さんっ!?」
此処は二階だが、まさか窓から逃げるつもりなのだろうか。
通常の家屋の二階よりも、この邸の窓は少々高い。
幾ら周の身体能力が高いとはいえ、生身で着地するには些か地面までは高過ぎる――
しかし周はその予測通り、出入口を塞ぐように立ちはだかっていた陽司が慌てて駆け寄るより早く、開け放った窓からひらりと飛び降りた。
「!」
「陽司、愛ちゃん、じゃあな!」
驚いた愛梨が急いで窓際まで走り寄ると、周が着地の寸前に足元へ風を送り込んで落下の衝撃を和らげたのが見えた。
「周様っ!!また風の精霊の力をそんなことに使ってっ!!」
窓から身を乗り出した陽司が、眼下で手を振る周に向かって怒声を上げる。
「悪いなー、陽司。母上にはお前から上手いこと言っておいてくれ!」
周はそう言い残して、街のほうへ駆け出して行ってしまった。
「もうっ…また俺が厘様に叱られるじゃないですかっ」
陽司は窓に寄り掛かったまま精根尽き果てたように項垂れた。
「ご、ごめんなさい…私がちゃんと周さんを引き留められてれば…」

