「きゃっ!周様、廊下は走らないでくださいませといつも申し上げておりますでしょう!」
途中、突き当たりで擦れ違った看護師が、慣れた口調で走り去る周に声を上げる。
その口振りはまるで、近所の悪戯少年を軽く窘(たしな)めるかのようだった。
「わりぃ、急いでんだ!」
咎められた当人もそれを然程気にも止めない様子で、相手に対して後ろ手に手を振った。
随分と親しみ易い領主子息である。
悠梨自身も、周が領主の息子だということをすっかり忘れかけていた。
「そういえばさ、お前の名前も聞きそびれてたよな?」
「あ…俺は悠梨だよ。鈴代(すずしろ)、悠梨」
「よっし悠梨、着いたぞ」
周がふと足を止めた場所には、自分が寝ていた部屋と同じような扉があった。
「本当はお前と一緒の部屋にしてやりたかったんだけどな…もう少し具合が良くなれば移動出来るよ」
周は苦笑しながら引き戸を開けた。
――室内の大きな寝台の上で、愛梨は眠っていた。
その周囲には、悠梨には良く解らない沢山の機械類や、点滴台が設置されている。
後で周に訊ねたところ、それらは妹の生命を繋ぎ止めるために必要なものだったらしい。
「あ、周様!その子、目を覚ましたんですね」
妹の傍には、周に陽司と呼ばれていた青年が付き添っていた。
途中、突き当たりで擦れ違った看護師が、慣れた口調で走り去る周に声を上げる。
その口振りはまるで、近所の悪戯少年を軽く窘(たしな)めるかのようだった。
「わりぃ、急いでんだ!」
咎められた当人もそれを然程気にも止めない様子で、相手に対して後ろ手に手を振った。
随分と親しみ易い領主子息である。
悠梨自身も、周が領主の息子だということをすっかり忘れかけていた。
「そういえばさ、お前の名前も聞きそびれてたよな?」
「あ…俺は悠梨だよ。鈴代(すずしろ)、悠梨」
「よっし悠梨、着いたぞ」
周がふと足を止めた場所には、自分が寝ていた部屋と同じような扉があった。
「本当はお前と一緒の部屋にしてやりたかったんだけどな…もう少し具合が良くなれば移動出来るよ」
周は苦笑しながら引き戸を開けた。
――室内の大きな寝台の上で、愛梨は眠っていた。
その周囲には、悠梨には良く解らない沢山の機械類や、点滴台が設置されている。
後で周に訊ねたところ、それらは妹の生命を繋ぎ止めるために必要なものだったらしい。
「あ、周様!その子、目を覚ましたんですね」
妹の傍には、周に陽司と呼ばれていた青年が付き添っていた。

