愛梨は、京の洗濯物を運んでいる際に通り掛かった玄関広間で、うろうろと落ち着かない様子の使用人女性を見掛けた。
「悠梨くん、遅いわねえ…」
「美花(みか)さん、お兄ちゃんがどうかしたんですか?」
「あ!愛ちゃん…それが、悠梨くんに周様を探しに行って貰ったんだけど…いつもならすぐ帰ってくるのに、なかなか戻ってこないのよ…」
美花は心配げに溜め息をついた。
聞けば、美花が夕食を給仕しに周の元へと向かったところ、部屋が蛻(もぬ)けの殻だったため悠梨に捜索を頼んだらしい。
「悠梨くんは寄り道なんてしない筈だし…心配だわ」
すると、また他の使用人が小走りで駆け寄ってきた。
「愛ちゃん!大変よ、悠梨くんが怪我をして倒れてたって電話が入ったの!!」
「ええっ?!」
お兄ちゃんが、怪我を――?
「それで、見付けてくれた方が自宅で保護してくれたらしくて…悠梨くんが愛ちゃんに迎えに来て欲しいって話してるらしいの」
「わ、解りました。わたし、すぐ行きます!」
「でも待って、愛ちゃん一人じゃ危ないわよ!もう夜も遅いし、誰か一緒に行ける人を探して…」
しかし、通いの使用人は殆どが既に帰ってしまった時刻で、残った使用人たちの中に手が空いている者は少ない。
今此処にいる二人も、自身の仕事の時間を割いてくれている。
「陽司くんに頼んで、男手を少し借りたら?」
いつも各々の職務に忙しい彼らに来て貰うなんて、それこそ申し訳ない。
「悠梨くん、遅いわねえ…」
「美花(みか)さん、お兄ちゃんがどうかしたんですか?」
「あ!愛ちゃん…それが、悠梨くんに周様を探しに行って貰ったんだけど…いつもならすぐ帰ってくるのに、なかなか戻ってこないのよ…」
美花は心配げに溜め息をついた。
聞けば、美花が夕食を給仕しに周の元へと向かったところ、部屋が蛻(もぬ)けの殻だったため悠梨に捜索を頼んだらしい。
「悠梨くんは寄り道なんてしない筈だし…心配だわ」
すると、また他の使用人が小走りで駆け寄ってきた。
「愛ちゃん!大変よ、悠梨くんが怪我をして倒れてたって電話が入ったの!!」
「ええっ?!」
お兄ちゃんが、怪我を――?
「それで、見付けてくれた方が自宅で保護してくれたらしくて…悠梨くんが愛ちゃんに迎えに来て欲しいって話してるらしいの」
「わ、解りました。わたし、すぐ行きます!」
「でも待って、愛ちゃん一人じゃ危ないわよ!もう夜も遅いし、誰か一緒に行ける人を探して…」
しかし、通いの使用人は殆どが既に帰ってしまった時刻で、残った使用人たちの中に手が空いている者は少ない。
今此処にいる二人も、自身の仕事の時間を割いてくれている。
「陽司くんに頼んで、男手を少し借りたら?」
いつも各々の職務に忙しい彼らに来て貰うなんて、それこそ申し訳ない。

