「お前、ずっと忙しかっただろ。だから話すのが遅れちまって…悪い」
「いや、いいよ。ゆっくり会話が出来たのも久し振りだったしさ…話してくれて有難うな」
周は自分のそんな考えを聞いたら、どう思うのだろう。
でもきっと告げたら困らせてしまうだろうから、言えなかった。
「…今度、五日くらい黎明に行かなきゃならないんだ。母の名代でさ」
「五日も?」
代理という立場もあってか、今までは黎明へ周が出向く際は日帰りか、泊がついても一日だけだった。
日頃から少しでも長く都の傍にやりたいと話している周にとって、五日間も春雷を離れるのは酷であろう。
「ああ。だから悠梨…その間に都に何かあったら頼む」
「何か、って…やけに弱気だな。心配なのは解るけど考え過ぎだろ」
浮かない面立ちの周にそう言って首を振って見せたものの、その表情は晴れないままだった。
「そう…だよな。考え過ぎだ、よな」
「…周?」
「……ん。お互い、そろそろ仕事に戻るか。邪魔して悪かったな」
「いや、いいけど…」
周の煮え切らない言動が気に掛かったが、何も言及せずに悠梨は周と別れた。
* * *
「いや、いいよ。ゆっくり会話が出来たのも久し振りだったしさ…話してくれて有難うな」
周は自分のそんな考えを聞いたら、どう思うのだろう。
でもきっと告げたら困らせてしまうだろうから、言えなかった。
「…今度、五日くらい黎明に行かなきゃならないんだ。母の名代でさ」
「五日も?」
代理という立場もあってか、今までは黎明へ周が出向く際は日帰りか、泊がついても一日だけだった。
日頃から少しでも長く都の傍にやりたいと話している周にとって、五日間も春雷を離れるのは酷であろう。
「ああ。だから悠梨…その間に都に何かあったら頼む」
「何か、って…やけに弱気だな。心配なのは解るけど考え過ぎだろ」
浮かない面立ちの周にそう言って首を振って見せたものの、その表情は晴れないままだった。
「そう…だよな。考え過ぎだ、よな」
「…周?」
「……ん。お互い、そろそろ仕事に戻るか。邪魔して悪かったな」
「いや、いいけど…」
周の煮え切らない言動が気に掛かったが、何も言及せずに悠梨は周と別れた。
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