人知れず、夜泣き。



 なんて言えば、木内は素直に受け取るのだろう。

 なんて言えば、木内は喜ぶだろうか。

 ・・・あ、そうだ。

 「じゃあ、このお金は前払いって事で。 今月分のお弁当代」

 ポケットに突っ込まれたお金を取り出し、木内に握らせた。

 「ワタシのお弁当がこんなに高いわけないじゃん!!」

 そのお金を押し返そうとする木内。

 「手間賃と感謝込み込み価格でこんなもんでしょ。 それに、その食器セット買ったのは、今日木内さんが作ってくれた料理を、それにのっけて食いたいと思ったからだし。 ぶっちゃけ、オレの為だし」

 「イヤ、それにしたって高すぎ「ないよ。 高すぎない。 オレが木内さんの料理に付けた値段がそれ」

 どうにもこうにも受け取ろうとしない木内を、食い気味で否定。

 「・・・ワタシの料理にこんな値段が付くなら、今頃三ツ星レストランで料理長してるっつーの」

 褒めたんだから素直に喜べばいいのに、木内は顔を赤くさせて俯いた。

 なんとなく、木内の性格が分かってきた。

 自分評価の低い木内は、褒められ慣れていないのだろう。

 「言っとくけど、今後手抜いたら容赦なく評価落とすから」

 憎まれ口を叩いたほうが、受け取り易いのだろう。

 「・・・じゃあ、今日は腕をぐるんぐるん振るいまくる」

 そう言って木内がお札を折りたたんだ。

 ほらね。

 やっと受け取った。