人知れず、夜泣き。



 若干の後悔をしながら、木内のいる包丁売り場に行く。

 包丁を選ぶ木内の傍には、まな板やフライ返しなども並んでいた。

 「こういうのも100均じゃない方がいいんじゃない?? こっちの方が長持ちすんだろ」

 フライ返しを指差すも、

 「・・・まぁ、それはそうだけどね」

 木内はこっちを見る事もなく、両手に持った包丁をどっちにするか迷っていた。

 つーか、両手に刃物持つ女って、なんか怖い。

 木内の返事が蔑ろだった為、木内の意見など聞かずにフライ返しとまな板を小脇に抱えた。

 「よし!! こっちにしよう。 じゃあ、レジ行こっか」

 ようやくどっちの包丁を買うか決めた木内が、『もう買い忘れとかないよな』と呟きながらオレの前を歩く。

 オレが木内の趣味を考慮していない、まな板とフライ返しを買おうとしている事には、全く気付いてない様子。