人知れず、夜泣き。



 「どうでもいいけど、明日の引越し何時にアパートに行けばいい??」

 そう、明日は木内の引越しの日。

 オレと木内の休みが被った日。

 木内の作りたての手料理が食える日。

 「頼んだ家電と家具はお昼過ぎに届く予定だから、その前にお皿とか買いに行こうと思うので・・・10時くらい?? 起きられる?? あ、でも買い物は1人で出来るから、橘くんは午後からでいいよ」

 木内はそう言うが・・・それじゃあダメだ。 だって、

 「オイ。 昼メシ作ってくれるんじゃなかったのかよ」

 木内の手料理目当てなのに、食わせてもらえないじゃん。

 「え?? 夜ゴハンじゃないの??」

 が、木内は夜ゴハンを作る気でいたらしい。

 オレ的には、昼メシ食ってちゃちゃっと手伝って帰るつもりだったけど・・・好都合。

 「何言ってんの?? 昼も夜もでしょ」

 意地悪に笑ってやると、

 「・・・なんか、橘くんが言うとエッロ」

 木内が細ーい目をしてオレを見た。

 コイツ、振られて欲求不満なのか??

 やっぱ、コイツきしょい。

 「淋しいからって、いちいちムラムラすんなよ、下ネタばばあ」

 『ばばあ』は余計だったかも・・・と言ってから少し後悔していると、

 「・・・若くて可愛かったら振られなかったかな。 ・・・イヤ、どのみち振られてたか、ワタシなんか」

 木内は一瞬表情を暗くたが、その後無理矢理笑った。

 きっと、彼氏の浮気相手は木内より若いコなのだろう。