人知れず、夜泣き。




 朝礼を終え、開店時間を迎えた。

 今日も客入りは上々。

 忙しければ眠気も飛ぶかと思ったが、全然眠い。

 立ちながら眠れる。 勝手に瞼が落ちてくる。 気合で瞼を持ち上げようとすると、白目を剥いてしまう。

 『えらっしゃいましー』そして呂律も回らない。

 そろそろ店長に注意されそうなレベルだ。

 「・・・あの、昨日あんまり寝れなかったんですか??」

 そんなオレの様子が目に入ったのか、木内が近くに寄って来た。

 オレの天敵・木内の持ち場はオレと同じアクセ部門。

 もう、この女とは関わりたくないのによー。

 つーか、オレが今瀕死状態で眠いのは、全部オマエのせいだし。

 「・・・まぁ」

 『どっか行け』とばかりに適当な返事を返す。

 「・・・実はワタシもあまり寝てなくて・・・多めに買ってきたのでおすそ分けです」

 木内がそう言いながら、ジュエリーケースの下でエナジードリンクを手渡してきた。

 「1本でダメならもう1本あるので言って下さい。 トイレに行くフリでもして飲んできて下さい」

 そう言うと木内は、そそくさとオレから離れて行った。

 木内の事は嫌いだが、今は木内がくれたこれに頼るしかない。

 有難く頂きにトイレに向かう。

 「くーッ!!」

 エナジードリンクを飲み干して気合を入れ直す。


 『お金の事はキッチリしなさいと親に言われて育てられたもので』

 木内の言葉が過ぎった。

 え?? これの分もキッチリ返すべきなの??