人知れず、夜泣き。


 定食を食べ終わると、百花は『今日、検診に行くから午後休なんだ』と言って、お店には戻らずそのまま帰って行った。

 ひとり、お店に戻る。

 運が悪い事に、従業員通用口で美人秘書と出くわしてしまった。

 少し離れた所では、修くんが誰かと電話をしている。

 取り合えず『お疲れ様です』と挨拶をし、頭を下げながら通り過ぎようとした時、

 「木内さんですよね?? 橘さんの彼女さんなんですよね??」

 美人秘書に呼び止められた。

 「・・・はい」

 「・・・・・・」

 小さく答えると『何でアンタが修くんと付き合ってるの??』とでも言いたげな目で、じろじろ見られた。

 いたたまれなくてこの場から立ち去ろうとした時、丁度電話を終えた修くんと目が合った。

 ニッコリ笑って駆け寄ってくる修くん。

 その時、

 「無理です」

 美人秘書が突然大きな声で何かを否定した。