人知れず、夜泣き。


 病院に着き、タクシーを飛び降りる。

 受付で桜の病室を聞き、看護師さんに『走らないで下さい』と注意されながら、桜の元へ急ぐ。

 病室の扉を開くと、腕と頭に包帯をぐるぐる巻きにした桜がベッドに寝ていた。

 「桜!!」

 ベッドに駆け寄ると、桜がゆっくりこっちを見た。


 枕の横に置いていた何かを手に取り、オレに手渡そうとする桜。

 桜が持っていたのは、オレの携帯だった。

 桜は、これを届けようと部屋を出たんだ。

 オレが桜の部屋に携帯を忘れなかったら・・・。

 「ゴメン、桜」

 桜を抱きしめる。

 桜、どんだけ怖かっただろう。