人知れず、夜泣き。


 桜に電話しようとポケットに手を突っ込む。

 ・・・ない。 携帯がない。

 なんで?? 家に忘れた?? 落とした??

 なんでこんな時に??

 もう、いい。 会いに行けばいい。

 「野沢さん、桜がいる病院どこですか??!」

 「E総合病院。 橘くん、今日有給にしとくよ??」

 『早く行け』とばかりに、野沢さんがオレの背中を押した。

 「すいません!! ありがとうございます!! お願いします!!」

 走って店を出て、急いでタクシーを捕まえた。