お目当てのお粥を購入して木内の部屋に戻る。

 ベルを鳴らすと、木内が『アレ??』という顔をしながらドアを開けた。

 中からは、なんか美味しそうな匂いがする。

 「橘くん、帰ったんじゃなかったの??」

 「お粥買いに行ってただけですけど?? それより、何?? このいい匂いは」

 鼻をくんくんさせながら木内の部屋に上がる。

 「橘くんのお粥、塩分がちょっと多めだったから、水足して卵落とせば美味しくなると思ってさ」

 オレがコンビ二に行っている間に、木内はあの失敗作を見事にリメイクしていた。 さすが木内。

 「捨ててなかったの??」

 「捨てないよ!! もったいないじゃん!! 折角橘くんが作ってくれたのに」

 相変わらず貧乏臭い木内。

 でも『オレが作ったから』捨てないって言われたのは、ちょっと嬉しい。

 「てゆーか、さっき帰ったんだと思って、橘くんに『気をつけて帰ってね』的なLINEしちゃったじゃん」

 木内が、バツが悪そうに笑った。

 携帯を確認すると、確かに『折角お粥作ってくれたのに、ちゃんと食べなくてごめんね。 気をつけて帰ってね。 うがいして寝てね』というお母さんみたいなメッセージが来ていた。

  木内らしくて、ちょっと笑えた。