少し状況を呑み込めた俺は地味な男を見る。



こいつがこんな大規模な〈氷壁〉を作ったのだろうか?



〈氷壁〉は中級魔法だがこの大きさを作るにはかなりの魔力を消費するだろう。



「お前…」



ポツリと呟くと男がゆっくり振り返った



「あ…。」



額に冷や汗を流し目を泳がせている男。



そして次の瞬間…



「あ、あははは〜」



物凄く棒読みで笑った。



「斎藤 柚。入寮したのは昨日夕刻。因みに入学試験400人中400位。」



眼鏡の端をクイッとあげながらそう言ったのは…



「2年神崎 聡【かんざき さとる】だ。一部からは情報屋とも呼ばれている。」



俺の視線に気づいたのかその人は軽く自己紹介をした。



情報屋か。



凄い細かい事まで知ってるんだな。



「で、斎藤。君今回の件について何か知っているか?あと、さっきの〈水壁〉は…「ちょっ、ストップ!そんな一気に質問されても困る。」」



いつの間にか斎藤を囲むように皆立っていて。



1人の教師が一歩前に出て質問し始めたが、斎藤はそれを遮った。