小さな白い花を踏まないように気をつけながら足取り軽く登って行く。



蝶々は風に舞うように飛んでいて



陽の光は優しくそれを照らしてる。



「綺麗な空だ」


頂上に着いて仰向けに寝転がった。



視界いっぱいに広がる蒼い空はどこまでも透き通っていて俺の心とは正反対だった。





ー序章ー






カサッ



「ん?」



音のした方を見ると大きな一本の木の下に男の子が立っていた。



「何してんの?」



こちらに背を向けている男の子に向かって声をかける。



男の子は一瞬肩をビクッと揺らすと振り向いた。



「誰?」



「斎藤 柚。お前は?」



「…レオ。」



「そうか。レオか。いい名前だな。」