…。はっと目を覚ます。
辺りはいつの間にか真っ暗だ。
ブランコに座ったまま、寝てたらしい。

「寒っ~。今何時だー?」

携帯を取り出しディスプレイを見る。
煌々と光る液晶に23:00と表示されてる。
「あと、1時間か…。なんか懐かしい夢見てたな~。本当は今日で2年だったのに…」
そう。
あの日この場所で始まったあたし達の恋は
2年もならない月日で終わりを告げた。
告げたのは、あたし。
切り出したのも、あたし。
なのに消すことも、忘れる事も出来ず
2年記念日の今日、この場所にきたら
また、会えるかもなんて期待して
ここに訪れたのだ。
だけど、祥介が訪れるわけもなく
日付は変わって行った。

「やっぱり、もう振り返ったらダメなのかな…」
ゆっくりブランコから立ち上がり
着た道をゆっくり帰る。
大好きな枯れ葉の踏む音も
今のあたしにはただの虚しい音。
家に着き、重い足取りでベッドに沈む。
部屋には想い出の写真や、アクセサリー。
自分からこの道を選んだくせに
1歩も進めていないのはあたしだった。

アドレスも、メールの履歴も
アルバムも借りてた服も
消せずに後ろばかり振り返って
今でも祥介に会いたいと望んでる。
ゆっくり目を閉じる。
今日まで、枕が涙で濡れるのを
許して欲しいなんて、
誰になんて分からないけどお願いをして
眠りについたー…。