「麻美?」

「……は、はい」

私の顔を覗き込むように見る先輩の顔が視界に映る。
めちゃめちゃ至近距離になり、尚更その頬は熱くなる。
ち、近いっ。
先輩、ただでさえ、カッコイイのに……。
私は早く熱をひくようにとその頬を押さえてると、先輩がクスッと笑った。

「じゃ、行こうか?」

「……はい。え?」

目の前に差し出された手に意味がわからず、先輩を見上げた。
すると先輩は綺麗に微笑んで。

「…………っ」

私はその手に、恐る恐る自分の手を重ねた。
グイッと引かれる。
…私は先輩の背中を、ずっと見つめていた。

「あ、そういえば」

歩いてると思い出したように先輩が言う。
何かと思ってると、先輩が振り返り、また綺麗に微笑んで言った。

「私服、カワイイね」


ドクンッ

いきなり……。
もう、熱がひいたはずの頬はおさまりそうにない。

本当、先輩はズルイ……。

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