恥ずかしさのあまり、私はさらに真っ赤になってしまった。
私たちのほかに誰もいないことが、せめてもの救いだ。

「で、トリックオアトリート。お菓子ちょうだい!」

突然、ハルは無邪気な笑顔に戻った。

やはり、ハルの天真爛漫さには出会って二年目の今でも、振り回されてばっかりだ。
しかし、今はそのおかげで正気に戻ることができたので感謝である。

「うーん・・・ちょっと待ってね」

私はようやく解放された手でバックの中を漁った。確かキャンディが一個入っていたはずだ。
しかし、お目当てのものはなかなか見つからない。
ようやくピンクの包装紙を見つけて取り出してみたが、中身が入っていない。どうやら既に食べてしまっていたらしい。

「ごめん・・・お菓子ないっぽい」

そう告げると、彼は予想に反してにやりと笑った。
きっと子犬みたいにしょんぼりするものと思っていたので意外である。