思考が大分整理されてきたころ。
オレはやっと質問する気になった。

「何でお前、ここにいんの?」

しばらくベッドに座りボーッとしていたナナミが、こちらを向いた。

「・・・あなたと同じ理由。」

「お前も頭痛で倒れたってのかよ?」

「ご名答。」

あの頭痛の発端はよく分からないが、レプリカ、またはオレたちの本体に関係あるかのどちらかだろう。

「・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・。」

またしばらく沈黙が続いていた。
普通の人間のように世間話で出すような話題も無い。
レプリカ実験や、オレたちの本体のことしか話すことは無いから、話題は探しても見つからなかった。

「お前は・・その、頭痛、大丈夫だったのかよ。」

考えに考えた言葉は、それだけだった。
昔はもっとたくさん話せた気がするなんて、これもまた記憶が戻ってきている証拠だろうか?

「大丈夫って言うか・・・正直、尋常じゃない位痛かったわ。」

「そこも同じ、か。・・・オレも、そんな感じの痛みだったよ。」